感覚過敏ってどんなこと?子どもの世界をのぞいてみよう【親が知っておきたいサインと対処法】


はじめに:感覚過敏ってよく聞くけど、実は…

最近、子育てや教育の現場でも耳にすることが増えてきた「感覚過敏(かんかくかびん)」という言葉。

でも、「実際にはどんな状態なの?」「うちの子もそうかも…?」と、よくわからないまま不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

感覚過敏は、特に発達特性(ASD、ADHD、グレーゾーンなど)のあるお子さんに多く見られる特徴です。
音や光、肌ざわりなど、日常のちょっとした刺激に強い不快感やストレスを感じてしまう状態のことをいいます。

この記事では、

  • 感覚過敏の5つのタイプ
  • 気づきやすいサイン
  • おうちでできるサポート方法

をやさしく解説していきます。


感覚過敏とは?5つの代表的なタイプ

私たちは普段あまり意識せず、音を聞いたり光を見たりして生活していますが、感覚過敏のある子にとってそれは「つらさの連続」かもしれません。

ここでは、特に多く見られる5つのタイプをご紹介します。


① 聴覚過敏(ちょうかくかびん)

🔊 音にとても敏感で、普通の音でも「うるさく」感じる

  • 掃除機やチャイムの音が「爆音」に聞こえる
  • 教室のザワザワ、先生の声、外の車の音などが一気に押し寄せてくる感覚
  • 耳をふさぐ、泣き出す、パニックになる

👂 サポート例

  • ノイズキャンセリングイヤホンを使う
  • 静かな場所で過ごす時間を意識的に作る

② 視覚過敏(しかくかびん)

👁 光や色、視覚情報に過敏

  • 蛍光灯の光がまぶしくて目を細めてしまう
  • スーパーや教室のような「情報の多い空間」が疲れる
  • 人混みに行くと機嫌が悪くなる

👀 サポート例

  • サングラスや色付きメガネ
  • 電球色の照明や間接照明の活用

③ 触覚過敏(しょっかくかびん)

🧸 肌に触れるものに対して強い不快感がある

  • 服のタグ、靴下のゴム、肌着の縫い目が苦手
  • 抱っこやハグを嫌がる(愛情がないわけではない)

🧤 サポート例

  • タグのない服を選ぶ
  • 好きな素材の服を本人に選ばせる

④ 味覚・嗅覚過敏(みかく・きゅうかくかびん)

🍋 味や匂いに対する敏感さ

  • 給食の匂いがつらくて食欲がなくなる
  • 食べ物の食感(ぬるぬる、ザラザラ)に強い拒否感
  • 偏食につながりやすい

🍴 サポート例

  • 無理に食べさせず、調理法や形状を工夫
  • 匂いの少ない食事環境づくり

⑤ 前庭覚・固有覚の過敏(ぜんていかく・こゆうかく)

🚗 バランス感覚や体の位置感覚に関する過敏さ

  • ブランコ、すべり台、車の揺れが怖い
  • 体育の時間を嫌がる、乗り物酔いしやすい

🤸 サポート例

  • 無理に体を動かす遊びはさせない
  • ゆったりとした感覚あそび(バランスボールなど)を取り入れる

こんな行動、もしかして感覚過敏かも?

感覚過敏は目に見えにくいため、周囲から「わがまま」「好き嫌いが激しい」と誤解されやすいものです。

でも、実はこんな行動に心あたりがあったら、感覚の困りごとが隠れているかもしれません。

✅ よくあるサイン

  • 大きな音や突然の音にびくっとする/泣く
  • 服を着替えるのを嫌がる(特定の素材・感触が苦手)
  • 匂いに敏感で、食事やトイレが苦手
  • 人混みや騒がしい場所を嫌がる
  • 運動あそびを極端に避けたがる

「これって甘えなの?」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、本人にとっては本当につらくてがまんできない感覚なんです。


家でできるサポート例

感覚過敏に「治療」や「しつけ」は必要ありません。
大切なのは、子どもの感覚の特性を理解して、環境を調整することです。

🧡 できることの例:

  • イヤーマフやサングラスなど「感覚を守るアイテム」の活用
  • 好きな素材の服・タオル・食器などを使う
  • 子どもが安心して過ごせる「お気に入りのスペース」をつくる
  • 外出先は「静か」「明るすぎない」など条件を考えて選ぶ

親が「この子にとってはこれがつらいのかも」と気づくことが第一歩です。


無理に慣れさせないで大丈夫

感覚の感じ方は、人によって本当にバラバラです。

「慣れれば大丈夫」
「うちの子も昔は苦手だったけど今は平気」
…そんな声があるのも事実ですが、無理に慣れさせようとすると、逆に苦手意識やストレスが大きくなってしまうことも

感覚過敏のある子にとって、「理解してくれる人がいる」ことが何よりの安心になります。


まとめ:子どもの「困りごと」は「わがまま」ではない

感覚過敏は、目に見えにくいけれど、確かに子どもが日々感じている「生きづらさ」の一つです。

でも、周りの大人がその感覚に気づき、
「こうしてあげたら過ごしやすいかな?」と一つひとつ工夫していくことで、
子どもは少しずつ安心して、自分らしく生活できるようになります。


🌱 おわりに

感覚過敏の特性は、成長とともに変化することもあります。
無理に「なおそう」とせず、子どもの感じ方に寄り添いながら、一緒に工夫していく関係がとても大切です。

わが子の「感じ方」を知ることで、
これまで見えなかった世界が、少しだけ見えてくるかもしれません。

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