SLEってどんな病気?

SLE(Systemic Lupus Erythematosus、全身性エリテマトーデス)は、自己免疫疾患の一つです。

ざっくり言うと、「自分の免疫システムが自分自身の体を攻撃してしまう病気」です。

もう少し詳しく説明すると:

  • 免疫システムは本来、体を守るためにウイルスや細菌を攻撃しますが、SLEでは何らかの理由で自分の細胞や組織を異物と誤認して攻撃します。
  • その結果、全身のさまざまな臓器(皮膚、関節、腎臓、心臓、肺、中枢神経系など)に炎症や損傷が起こります。
  • 症状は非常に多様で、人によって現れる部位や重症度が異なります。
    • 代表的な症状は、**顔に蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)**という特徴的な赤い発疹、関節痛・関節炎腎炎(ループス腎炎)発熱倦怠感など。
  • 原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要素ホルモン(特にエストロゲン)、**環境要因(紫外線、感染症など)**が関与していると考えられています。
  • 発症しやすいのは、**若い女性(特に20〜40代)**に多いです。

ChatGPTに尋ねると上のような回答が返ってくるのですが、人によって症状が様々なのがSLEの特徴です。そもそも私は男性なので、発症しやすい例からは漏れています。

私のSLE

 私の場合は腎炎からSLEが判明しました。全身がむくんでしまい、ぱんぱんに腫れあがった状態で病気が発覚しました。SLEに特徴的な蝶形紅斑が見られなかったのも発見が遅れた要因です。

 発見が遅れたことで重篤な状態から治療に入りました。SLE、特にループス腎炎に対してはステロイドパルス療法が第一選択肢としてあるのですが、私の病態には効果がありませんでした。症状が落ち着くきっかけになったのは免疫抑制剤(セルセプト、タクロリムス)の投与でした。治療がひと段落するまでの間にも腎機能は失われつつあったので、緊急の血液透析も行いました。

カクテル療法実施までの流れ

 入院・検査(腎生検)→ステロイドパルス療法(効果なし)→緊急透析→カクテル療法→腹膜透析に移行

 長い時間をかけて治療にあたってきましたが、倦怠感や易疲労感は治らないまま、というのが現在の状況です。腎機能に改善傾向がみられたのが救いで、一時期eGFRで15くらいだったのが、今は30くらいまで回復しています。現在は透析治療も終了しています。普通は一度失った腎機能は回復しないので、奇跡的というしかないと思います。
 一次治療が終わり2年ほどで社会復帰を果たせましたが、病気自体が良いときと悪い時を繰り返す性質を持っているので、体調が安定しないのが悩みです。医師の診断ではフルタイム勤務は難しいとのことなので教職を辞め、今は時間講師をしながら生計を立てているところです。

SLEに使われる薬の話

 SLEで使用される薬は多岐にわたります。その中から今までに私が使用してきた薬を紹介します。

①プレドニゾロン(ステロイド薬)
 SLEは体の各所に炎症を起こす病気なので、炎症を抑える目的で必ずと言っていいほど使われます。症状の程度にもよりますが、私の場合は60mg投与からスタートし、症状の程度に合わせて5mg刻みで減薬となりました。現在は4mgを飲んでいます。

②プラケニル(ヒドロキシクロロキン)
 現在のSLE治療の標準薬で、自己免疫疾患のコントロールにとても重要な役割を持っています。

③セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル)
 免疫抑制剤の一種で、体の免疫を抑えることでSLEの活動性を低下させます。免疫を抑える薬なので、服用中は感染症にかかりやすくなります。また女性では妊娠期間には投薬を中止されるそうです(胎児の奇形が報告されているため)。
 今は1日量で1000mgを服用しています。

④プログラフ(タクロリムス)
 これも免疫抑制剤で、免疫を抑えることでSLEの活動性を低下させます。特にループス腎炎に対して有効です。私の場合はループス腎炎が落ち着いてからは服用がなくなりました。これはプログラフ自体に腎機能障害の副作用があるためです。

⑤カルベジロール、アジルバ
 血圧を下げる薬です。腎性高血圧があるので、現在も服用しています。

⑥炭酸水素ナトリウム錠
 代謝性アシドーシス(体が酸性に傾くことで、倦怠感などが出る症状)を改善するための薬です。いわゆる重曹を錠剤にしたものです。

⑦フェブリク錠
 痛風の薬ですが、私の場合は尿酸値を下げる目的で使用しています。腎臓の機能が低下しているので、高尿酸値の状態は現在も続いています。

⑧ジャディアンス錠
 糖尿病の薬ですが腎臓の保護にも使われる薬です。腎臓が糖分を再吸収する働きを阻害することで腎臓を保護します。

⑨サフネロー
 サフネローは、既存治療(ステロイドや免疫抑制薬)で効果が不十分な中等症から重症のSLE患者に対して使用されます。4週間に一度点滴で投与されます。

 SLEによるうつ病も併発しているので、これらに加えてうつ病の治療薬も服用しています。

 基本的にSLEの治療は「寛解(病気の症状が治まった状態が安定すること)」を目標にしています。治癒の方法は今のところ開発されていない病気ですが、症状を抑えることで健常者と変わらない生活を送ることができるようになるのが目標です。そのためにステロイドの量を減らす、もしくはなくすことを目指してあらゆる薬の投与が行われています。

まとめ

 以上参考になるかどうかはわかりませんが、私のSLEは腎症状がメインのものでした。SLEの中には皮膚エリテマトーデスといって皮膚症状だけが現れるものから命にかかわる臓器障害まで様々な病態が現れます。

・SLEは自分の免疫が本来攻撃しないはずの自分の体を攻撃する病気

・症状は人によって様々で、場合によっては命にかかわることがあること

・薬は主に対処療法(ステロイドの量を減らす)が目的

・SLEは寛解を目指した治療が行われる

 同じ病を持つ方の助けになればと思ってこの記事を書きました。よかったら下のボタンからシェアしていただけると励みになります。
 

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